風の時代に入り、約6年が経ちます。
2020年の末、木星と土星が水瓶座で重なりました。この二つが重なる場所は、約200年ごとにエレメントを移ります。
地から風へ。モノや土地や所有に置かれていた価値が、情報やネットワークや関係のほうへ移っていくとされる時代です。
ただ、私が大きいと見ているのは、もうひとつの動きのほうです。
2024年の末、冥王星が水瓶座に入りました。2040年代まで、二十年ほど滞在します。
冥王星が一周するのに248年。前回この配置だったのは、1777年から1798年頃です。
アメリカ独立戦争と、フランス革命の時代でした。
当時のグレートコンジャンクションは、まだ火のサインにありました。あの二十年を動かしたのは、冥王星のほうです。
それまで当たり前だった支配の仕組みが壊れ、新しいルールが書かれた二十年でした。
王のものだった正しさが、人々のものになった。二十年かけて、世界の土台そのものが入れ替わりました。
本格的に入ったのは2024年の末ですが、冥王星は2023年の春から、水瓶座と山羊座のあいだを行き来していました。
土台は一度に入れ替わるのではなく、何度も確かめるように移っていく。
私たちはいま、その最中にいます。
誤解のないように書いておくと、「だからこれからこうなります」という話をしたいわけではありません。
星を予言として読むことには、あまり興味がありません。
天体の配置は、起こることを決めているのではなく、その時代に流れている空気感の相互反映だと思っています。
同じ空の下にいても、何を感じるかは人それぞれ。
そのうえで、見過ごせないことがあります。
まったく別のところから、同じ方向を指す事実が出てきていることです。
いまの金融システムの土台は、1971年にできました。
ドルと金の交換が止まり、お金は裏付けを失って、信用だけで成り立つものになりました。
その数年後、1976年から77年にかけて、いまのインターネットを守っている公開鍵暗号が生まれています。
ネットバンキングも、カード決済も、スマホのログインも、根幹の技術はそこから始まっています。
お金の仕組みと、それを守る鍵の仕組みが、ほぼ同じ時期に生まれている。
どちらも、五十年前のままです。
そしてここ数週間、不正アクセスと情報漏洩のニュースが続いています。
どこか一社の不手際として読み流すには、少し多すぎると感じた人もいると思います。
閉め忘れたドアを、機械が人間とは比べものにならない速さで探し回っている状態です。
鍵そのものが揺らぐ日の話も、すでに始まっています。
十分な性能の量子コンピュータができれば、いまの公開鍵暗号は破れる。
1994年に理論として示され、早ければ2030年代だという試算が出るようになりました。
AIが研究開発そのものを速めていることを考えると、もう少し早いかもしれません。
2024年には新しい標準暗号が確定し、世界中のシステムを入れ替える準備が動き出しています。
五十年前に敷かれた土台が、いま二つとも、ほぼ同時に取り替えの時期に来ている。
偶然かもしれません。
けれど私には、同じひとつのことが、空の側と地上の側から同時に見えているだけのように思えます。
かなり前から、現在の経済システムはどこか妙な方向へ振り切れていると感じていました。
限界が見えている仕組みを、技術の進み方と噛み合わないまま引き延ばしている。
その歪みのせいか、私たちの意識は、人の幸せに本質的につながらないところへ集まっています。
一瞬の快のために作られた甘さが、習慣になり、やがて体を壊していく。
必要のない薬が増え、本来は個性と呼ばれたはずのものにまで、病の名前がついていく。
安く買い叩いて高く売ることが、そのまま事業として成立してしまう。
人の暮らしから切り離されたところで進む都市開発。
子どもの自由な発想を脇に置いたまま「学力」を掲げ、いちばん伸びる時期の睡眠まで削っていく仕組み。
誰かの生活と比べさせ、時間を奪い、自分への評価を下げさせていくもの。
不安を先に置いて、必要のないものへ手を伸ばさせる商売。
今だけ、金だけ、自分だけ。
挙げればきりがありません。
職業に貴賎はありません。
そしてこの構造を憎んでいるわけではありません。
ここまでの発展がもたらした恩恵を、私たちは全員受け取っています。
ただ、これは単なる箱庭に過ぎません。

よくできた箱庭です。
お金というアイテムがあり、持っていれば強く、交換もできる。
学力や成績、偏差値と呼ばれる点数が高いほど良い人生だと教わります。
不安になる仕組みも、比べさせる仕組みも、よく設計されています。
けれどそれは、箱庭の世界でだけ通用するルールです。
箱庭そのものが悪いわけではありません。
悪いのは、箱庭だと気づかないまま、点数のためだけに一生を使ってしまうことです。
気づいてしまえば、私たちは自由に遊ぶことができます。
ルールは知ったうえで、それに支配されずに。どこへ出かけ、誰と過ごし、何を作るのか、自分で決められる。
気づくことが、そのまま自由になること。
システムが入れ替わるとき、価値の持ち主も入れ替わる。
それは歴史が何度も繰り返してきたことです。けれど私たちが渡したいのは、価値そのものではなく認識の仕方のほうです。
私たちは、仲間や家族のためだけに利益を出す会社ではありません。
自分たちのサービスとプロダクトを通して、このアンバランスな社会と共存しながら、それでも多くの人に本質的な幸せと世界の楽しみ方を届けるためにあります。
もうひとつ、思っていることがあります。
昨今の早すぎる時代の変化にAIが入ってきて、人の暮らしはさらに目に見えて変わりはじめました。
仕事を失った人もいます。何を身につければいいのか、何が残るのか、誰にも断言できません。
こういう時期に本当に要るのは、正しい予測ではないと思います。
変わらないものが、どこかにあること。
人を心から安心させるのは、所有している物や社会的立場ではありません。
誠心誠意、ブレずに信念を持ち続け、行動で示すことのほうです。
時代がどれだけ速く動いても、そこだけは変わらない。
変わらないものがひとつでもあると、人は自分の心で立てます。
それを伝えるのも、私たちの責務だと思っています。
この時代の地球に遊びに来た者として、仕組みを使って楽しむだけでは勿体無い。
次の人たちに、より良い地球を渡す。
その宿命も、同時に抱えているはずです。
渡す相手は、次の地球を楽しむ子どもたちであり、その先の世代です。
彼らもまた、この箱庭に気づいて自由に、幸せに、この星を楽しんでくれるはずです。