
Taronyasbub
35.68499, 139.77163
東京駅八重洲中央口、都道405号外濠環状線を俯瞰する。 整然と区画されたオフィスの谷間を、人と車が秩序正しく流れていく。 その奥、銀座へと続く光の帯が夜気ににじむ。 かつて、蒲鉾は魚からできているのかと遊女が問うた。 知っていた。すべて知った上で、知らないふりを選んだ。 眼下を流れる無数の人々もまた、知らないふりをしている。 仕組みの矛盾を、建前の脆さを、通りの先で待つ本性の在り処を。 八重洲の端正な背中が銀座の灯りに吸い込まれるとき、虚栄、陶酔、幾重もの感情が建前の皮膜の下で交錯する。 知らないふりの総意が、この構造体を成り立たせている。 蒲鉾が魚であることを、本当は全員が知っている。