
Taronyasbub
34.38050, 133.39449
広島県福山市鞆町後地、仙酔島。 約9,000万年前の火山活動が残した五色岩の地層を探る。 マグマの噴出と沈静を幾度も繰り返し、鉄分の酸化と変成によって別れた色。 この一枚一枚の断層は、途方もない時間の堆積そのものだ。 太古の地殻が剥き出しのまま潮風に晒され、今もなお熱量を帯びているように見えた。 2021年3月、何かに引き寄せられるようにこの島へ渡った。 無菌室の静寂、口から出まかせの抜け殻が着たスーツ。現場の泥、夜の街の灯。 そして日を追うごとに成長していく写鏡のような2人。 過ぎた年月は一瞬だったが、だいぶ長く生きた心地がしていた。 半チンピラのようで、小僧のような馬鹿な大人は、まだ狂ったように反抗していた。 そして誰よりも自分自身の浅さに嘆いていた。 何も伝える術を持たない事に対する焦燥感から、気が狂ったように表現の手段を模索している。 意思とは無関係に、時間だけが断面を積んでいく。 噴出と休止を繰り返して形成されたこの岩壁に、自分の時間を重ねる。 不本意だったはずの日々が、気づけば思考と手を動かしていた。 選んだ覚えすらない経験のすべてが、その手を支えている。 幾重にも折り重なった断面から、松が一本、空へ伸びる。 堆積した時間は消えない。やがて地表に現れる。